マイクロLEDアレイにおける発光特性の自動統計解析
使用装置
Monarc®Proカソードルミネッセンスシステム
背景
マイクロLED(µLED)アレイは、高輝度かつ高コントラストなディスプレイを実現する可能性を秘めています。こうしたアレイには、単一の基板上に数千個もの微小な光源(通常0.2~50 µm)が集積されています。しかし、アレイ全体にわたって輝度や発光波長を均一に保つことは容易ではありません。
マイクロLEDのサイズが10 µmを下回ると、その特性評価は非常に困難になります。また、製造工程で生じる側壁の欠陥が、デバイスの効率に悪影響を及ぼすこともあります。そのため、プロセス開発を支援するには、多数のマイクロLED個々について発光強度や波長を評価し、それらの結果を構造や組成に関する情報と関連付けられる手法が求められます。
本稿では、Monarc Proシステムを用いた自動化アプローチにより、マイクロLEDアレイ内の個々のデバイスを迅速に評価し、デバイスの均一性に関する統計的に有意義な知見を得る手法を紹介します。
試料と測定方法
Monarc Pro カソードルミネッセンス (CL)システムを搭載した走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、132個のマイクロLEDからなるアレイの二次電子(SE)像とCLスペクトルイメージ(SI)を同時収集しました。 CL-SIには各画素における発光スペクトルが保存されており、個々のデバイス内およびアレイ全体にわたる発光特性の空間的な変動を測定することが可能です。
各画素における発光強度および波長は、重心関数を用いた非線形最小二乗フィッティングによって算出しました(図1a)。対応する二次電子(SE)像からは、幅が0.45 µmの六角形マイクロLEDが確認されました。
次に、SE像のセグメンテーション(領域分割)を行い、CL-SIデータ内の個々のマイクロLEDデバイスを特定しました。詳細については、 アプリケーションノート:スペクトルイメージ解析を強化するためのイメージセグメンテーションをご参照ください。
セグメント化されたデータセットから、各デバイスの平均発光強度および重心エネルギーを算出し、統計分布としてまとめました(図1bおよび図1c)。このオブジェクトベースのアプローチは、アレイ全体にわたるデバイス間のばらつきを評価するための、効率的かつ一貫した手法を提供します。

図1. a) 発光エネルギーマップ(カラー)と、二次電子像から自動セグメンテーション処理によって抽出された物理的なサイズおよび形状(白黒)を重ね合わせた画像、b) マイクロLEDの発光強度に関するヒストグラム、および c) マイクロLEDの発光波長に関するヒストグラム
まとめ
カソードルミネッセンス(CL)スペクトルイメージングと自動画像セグメンテーションを組み合わせることで、アレイ状に配置された個々のマイクロLEDの発光特性を統計的に解析することが可能になります。本例では、132個のデバイスについて発光強度と発光波長を自動的に評価し、デバイス間のばらつきを定量的に把握しました。
この手法をさらに発展させることで、デバイスのサイズ、位置、対称性といった物理的特性と、発光波長や発光強度との相関を調べることも可能です。このようにして、複雑かつ高次元なスペクトルイメージング・データセットを、簡潔な統計分布や性能指標へと変換できます。
デバイスの特定および解析を自動化するこのワークフローにより、より迅速かつ一貫した特性評価が可能となり、顕微鏡観察からプロセス開発に至るフィードバックループを短縮できます。