スピントロニクスにおけるカイラリティ決定のための電子線回折手法
Gatan社使用装置
Stela® ハイブリット-ピクセル型カメラは、低加速電圧においても電子線回折の測定に妥協する必要がありません。StelaにはDECTRIS社のハイブリット-ピクセル技術が採用されており、電子線カウンティング処理によって実現される最高のシグナルノイズ比を活かして検出が困難な回折図形中の詳細を明らかにします。加えて、その大きなダイナミックレンジを有するセンサーにより、1枚の像の中で弱い信号強度と強い信号強度の回折ピークを同時に捉えます。
研究の背景
スピントロニクスの分野は近年非常に注目されています。それはデータストレージや通信技術、そして情報処理といった応用分野において潜在的なポテンシャルを有しているためです [1]。スピントロニクスの中でも、非中心対称(NCS)は外部刺激に対してスイッチ可能なスピン分裂したバンドの分散を示します。NaCu5S3 (空間群 P6322) はそのようなNCSのひとつであり、理論的に電子構造中のカイラリティに依存したスピン分裂を示す安定なフェリキラル化合物です。一方で電子顕微鏡を用いたカイラリティの実験的な決定には、非常に困難が伴うことが判っています。それは電子顕微鏡の単純な二次元投影では、三次元の構造を有するカイラリティの検出が不可能であるためです。