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材料の最適なX線元素分析のためにMicro-XRFとSEM-EDSを相関させる方法

はじめに

微小部蛍光X線分析(Micro-XRF)とエネルギー分散型X線分析(EDS)は、どちらも試料との相互作用後に発生したX線を検出するという点で類似した手法です。 EDSの場合、特性X線は試料に衝突する電子によって励起されますが、Micro-XRFでは、X線管から放出される高エネルギーX線によって蛍光X線が励起されます。シリコンドリフト検出器(SDD)は、最新のEDSおよびMicro-XRFシステムのX線検出に使用されます。 これら2つの手法は、データ収集においても類似しています。どちらか一方を利用して、定性、定量分析、マッピング、ラインスキャンを実行できます。 このアプリケーションノートでは、SEM-EDSとベンチトップMicro-XRF分析の相対的な利点について説明し、材料の最適なX線元素分析のために2つの手法を一緒に使用する方法を提案します。

Spectra overlay for an SRM 610 glass standard with different elements doped at 300 – 500 ppm concentrations. SEM-EDS spectrum in blue outline and XRF in red.
図1.300〜500 ppmの濃度でドープされたさまざまな元素を含むSRM610ガラス標準試料のスペクトル重ね合わせ。SEM-EDSのスペクトルは青色アウトライン、XRF のスペクトルは赤色です。

Micro-XRF

ベンチトップのMicro-XRFは、従来のXRFの利点はそのままで、可動ステージと微小部X線照射径を備えています。元素番号がより高い元素の場合、Micro-XRFの検出限界値は、SEM-EDSの10倍以上です。 図1は、300〜500 ppmの濃度でドープされた様々な元素を含むガラス標準試料のEDSおよびMicro-XRFスペクトルをオーバーレイ表示しています。 これは、2つの手法間の微量元素の感度に大きな違いがあることを示しています。 Micro-XRFは、高エネルギーX線を使用してSr K、Zr K、Ag KなどのEDSでは検出できないX線を励起できます。これは、低エネルギー側のX線がEDSスペクトルでオーバーラップしている場合に役立ちます。

 

Micro-XRF分析は非破壊分析であり、試料へのビーム損傷がなく、試料の前処理は最小限です。通常、試料の研削や研磨は不要であり、導電性も不要です。試料のロードは、より大きな試料をステージに直接装填でき、薄いサンプル、微粒子、ファイバー等を装填できるという点で柔軟性があります。試料の形状と高さは不規則である可能性があり、ベンチトップMicro-XRFユニットの大きな試料室は幅広い試料サイズに対応できます。X線の侵入深さはミクロンからミリメートルであり、電子ビームよりも表面下の組成をより正確に検出できます。Micro-XRFシステムの最小スポットサイズは、ポリキャピラリー技術を採用することにより、約20〜30 μmです。これらの機能は、Micro-XRFがSEM-EDSよりも広域の分析に適していることを意味します。例えば、図2は、イオン浸透の深さと経路を決定するため、道路から採取した比較的大きなコンクリート舗装試料のMicro-XRFマッピングを示しています。このタイプの試料でのMicro-XRFマッピングは、SEM-EDSを使用するよりもはるかに高速で、試料の前処理もほとんど必要ありません。試料は低真空モードまたは大気モードのいずれかで実行できるため、液体や真空中で脱水する試料の分析が可能になります。

a) Montage image of a concrete pavement sample from a roadway routinely exposed to acetate and formate salt-based de-icing solutions during winter months. The top surface of the concrete is on the left side, while the bottom surface is on the right. b) Overlay of K, S, and Ca elemental maps. Blue = K, green = S, and red = Ca.

Figure 2. a) Montage image of a concrete pavement sample from a roadway routinely exposed to acetate and formate salt-based de-icing solutions during winter months. The top surface of the concrete is on the left side, while the bottom surface is on the right. b) Overlay of K, S, and Ca elemental maps. Blue = K, green = S, and red = Ca.

大気は低エネルギーX線を散乱または吸収します。ただし、ヘリウムフラッシュオプションを備えた一部のMicro-XRFは、ヘリウム雰囲気でのX線の減衰が大気中よりもはるかに低いため、大気圧で真空性能を得ることができます。

EDS elemental maps of an Al tape on SiC were collected at 2 kV using a Si3N4 window SDD detector. Al L (73 eV) and Si L (92 eV) are separated in the maps.

Figure 3. EDS elemental maps of an Al tape on SiC were collected at 2 kV using a Si3N4 window SDD detector. Al-L (73 eV) and Si-L (92 eV) are separated in the maps.

SEMベースのMicro-XRFシステムには、上記の利点の多くが無いことに注意してください。試料がSEMチャンバーに装填されると、SEM試料の全ての要件が適用されます。SEMの試料室サイズとステージは試料の寸法を大きく制限し、非導電性試料はコーティングする必要があります。真空雰囲気に耐えられない試料を分析する機能も失われます。

SEM-EDS

Micro-XRFと比較して、SEM-EDSははるかに優れた軽元素/低エネルギーX線の感度を有しています。シリコンナイトライドウィンドウと高速・低ノイズのパルスプロセッサを備えたSDD検出器は、SiLを定常的に検出できます。同じことがAlLの検出にも当てはまり、さらに低く73 eVを検出します。図3は、AlLとSiLがEDSマップで分離できることを示しています。このタイプのEDS検出器を使用すると、高アウトプットカウントレートで微量炭素の定量を正確に行うことができます(図4)。 ベンチトップMicro-XRFシステムは、低エネルギー領域のX線励起効率とX線管球、SDD検出器のウィンドウ材の影響で、1keV未満のエネルギーを検出することは困難です。

 

SEM-EDSは、より複雑な試料の前処理が必要です。表面の凹凸を取り除くため、試料の切断、断面出し、または研磨が必要です。非導電性試料は、帯電をなくすために導電性コーティングをする必要があります。試料は、ステージに収まるように十分に小さくする必要があり、通常、試料ホルダーに取り付けられます。電子ビーム励起が弱いため、SEM-EDSの分析励起深さはMicro-XRFほど大きくありません。 電子ビームのスポットサイズは、マイクロXRFのX線ビームサイズよりもはるかに小さく、サブミクロンの空間分解能を提供します。 したがって、SEM-EDSは、より正確な位置でより小さい部分を分析するのに適しています。通常、SEM+EDS分析は高真空で実行されます。一部のSEMでは低真空モードでの分析が可能です。

EDS quantitative results for trace carbon in a steel standard at 20 kV and 30% dead time. a) Carbon peak acquired at 15,000 input cps with 7.86 μs amp time (red) and 200,000 input cps with 0.96 μs amp time (blue outline). b) With increasing input count rate, measured carbon concentration is stable, ranging from 0.46 wt% to 0.52 wt% compared with the given known value of 0.50 wt%.

Figure 4. EDS quantitative results for trace carbon in a steel standard at 20 kV and 30% dead time. a) Carbon peak acquired at 15,000 input cps with 7.86 μs amp time (red) and 200,000 input cps with 0.96 μs amp time (blue outline). b) With increasing input count rate, measured carbon concentration is stable, ranging from 0.46 wt% to 0.52 wt% compared with the given known value of 0.50 wt%.

Micro-XRFとSEM-EDSの相関

EDS and micro-XRF analysis of the same spot on a solder. a) Trace Au and Bi are suspected in the EDS spectrum. b) Micro-XRF analysis with the Rh filter shows Au-L and Bi-L lines.
図5.ハンダの同じ位置におけるEDSとMicro-XRF分析結果 a) EDSスペクトルではトレース Auと Bi のピークは検出が疑わしい b) Rhフィルターを使用したMicro-XRFスペクトルは、Au L とBi L を検出

相関するMicro-XRFおよびSEM-EDSアプローチは、両方の手法の利点を提供します。図5に示すように、ハンダ上のスポットを両方の手法で分析し、EDSスペクトルで疑われる微量のAuとBiはRhフィルターを使用したMicro-XRFにより、高エネルギーピークで確認できます。より高倍率とより正確なビーム位置照射により、Micro-XRFシステムの最小スポットサイズでは解決できない微細な分析は、SEM-EDSの利点となります(図6)。

EDS analysis of fine features in the solder sample at 1,000x magnification.
図6.倍率x1,000倍におけるハンダ試料の微細な分析が可能なEDS

まとめ

Micro-XRFは、X線フィルターを使用することで、元素番号のより大きな元素の検出限界を改善することができ、オペレーターが最初に見逃した微量元素をEDS分析に戻って見つけることができました。この手法に必要な最小限の試料前処理により、低真空または大気雰囲気で「うけとったままの」試料が迅速かつ簡単に分析できます。また、SEM-EDSよりも、粗い表面凹凸を持つ大きな試料の分析に適しています。SEM-EDSは、高倍率やより正確な位置の分析に適しています。軽元素や低エネルギーX線の検出限界が大幅に改善されたシリコンナイトライドウィンドウSDD検出器を使用してAlLを定常的に検出できます。理想的な世界では、すべてのラボにスペクトル分析の完全なニーズを達成するための両方のツールが必須です。