嫦娥5号が回収した月面試料に対するEELSを用いた第二鉄の含有量の評価
Gatan社製使用装置
Continuum S は高速取得を実現するXCR™ センサーと最先端のデータ取得ハードウェアから構成されるエネルギー損失分光器(EELS)です。結果としてほぼゼロのデッドタイムを実現し、約8,000スペクトル毎秒でエネルギーシフトの補正を可能とするふたつのエネルギー範囲からのEELSデータ取得を達成しています。さらにDigitalMicrograph® ソフトウェアの最新の機能を利用することにより、三次元の化学状態マップが素早く、かつ高い信頼性をもって取得することが可能となりました。
研究の背景
月面のレゴリス中に含まれる鉄の存在を利用し、我々の太陽系における酸素のポテンシャルを研究者達は記録し明らかにしようとしています。アポロ探査機が持ち帰った試料に対する過去の研究では、月表面と内部では非常に還元性が強く主に第一鉄(Fe2+)、または金属鉄(Fe0)が主であり、第二鉄(Fe3+)はごく僅か(<1 wt. %)であることが判っています。しかしながら、最近月ガラス粒中にははるかに高い濃度のFe3+を含むことが示されました。月表面の非常に高い還元雰囲気におけるFe3+の生成と安定性の機構については未だ議論の中にあります。今回EELSによる化学状態マッピングと電子線トモグラフィを用いて著者らは説明を試みています。