
EDSおよびWDSマッピングによる電池正極中のフッ素分布の解明
November 1, 2025

波長分散型X線分光法(WDS)は、試料から発生する特性X線を分析することで、試料の元素組成を明らかにする優れた分析手法です。エネルギー分散型X線分光法(EDS/EDX)の補完技術として、WDSは分解能と感度を向上させ、多様な試料に含まれる元素の高精度な同定と定量分析を可能にします。
電子ビームが試料と相互作用すると、試料に含まれる元素に固有のX線が発生し、材料組成に関する重要な情報が得られます。EDSとWDSはどちらもこれらの特性X線を分析しますが、EDSはエネルギーに基づいてX線を分光するのに対し、WDSは波長に基づいてX線を分光します。WDSはEDSよりも高い分解能と精度を持ち、EDSは一般的に低エネルギーX線に対してより高速で感度が高いという特長があります。
走査型電子顕微鏡(SEM)に取付けたWDSシステムは、発生したX線を波長と強度に基づいて収集し、元素の高精度な同定と定量分析を可能にします。
WDS分析システムの主要構成は、電子ビーム源(SEM)からのX線収集光学系、分光器(回折結晶)、およびX線検出器です。回折結晶は、ブラッグの法則に従ってX線を波長ごとに分散させます。ブラッグの法則とは、特定の波長のX線は特定の角度で回折するという法則です。分光器の回転は、対象元素の特性X線など、特定の波長のX線をX線検出器に向けて照射するように調整されます。この検出器は、選択されたX線の強度(フラックス)を測定します。

WDSはピーク分解能と信号対雑音比を向上させるため、材料分析、特にX線スペクトルピークが重なる複雑な試料や微量元素の分析に最適です。軽元素を検出できる能力が、幅広いアプリケーションにどのような変革をもたらすかをご覧ください。
| 性能 | 利点 |
|---|---|
| 複雑な試料中の元素を特定 | 他のX線分析技術(例:EDS)よりも優れたスペクトル分解能を提供するため、X線スペク トルピークが重なる複雑な試料の分析に最適です(図1参照) |
| 微量元素の分析が可能 | EDS(約0.1Wt%)と比較して最小検出限界が約10倍向上し、微量元素の検出と 定量分析精度が向上します |
| 従来分析が困難だった軽元素の分析が可能 | 低エネルギーピークを測定できる独自の機能により、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、 酸素などの軽元素の検出が可能になります |
| 元素を正確に定量化 | 高精度かつ高確度の定量分析により、元素をより容易に識別できるため、 より信頼性が高い結果が得られます。 |
ステップ1:試料の調製試料は平滑で研磨済みであり、ホルダーまたはスタブに固定する必要があります。非導電性試料は、画像の歪みやドリフトの原因となる帯電効果を排除するためにコーティングが必要です。これを実現する最良の方法は、PECS™ II装置のような全自動アルゴンイオンミリングシステムを使用することです。
PECS II装置は、損傷のない表面、断面を調製し、帯電を防止または排除するためのコーティングを施すことができます。
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ステップ2:データ収集WDS検出器は、電子顕微鏡のビームが試料に照射された際に発生するX線を収集します。これらのX線はWDS検出器によって収集され、検出器内の様々な結晶を用いて特定のX線波長を分光します。これにより、分光したX線強度を正確に測定できます。
EDAX® APEX™ソフトウェアは、この測定を可能にします。 WDSは、EDSや電子後方散乱回折(EBSD)などの関連技術と組み合わせることで、材料の組成をより詳細に理解することができます。 |
ステップ3:解析データ収集後、APEXソフトウェアは元素マップ、分布図、相マップ、および定量分析が可能です。WDSによって得られる結果は、より高精度で、複雑な材料の分析を強化します。 |
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