カソードルミネッセンス

電子顕微鏡レベルで材料の化学特性および電子特性について独自の知見を得ることができる。

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概要: 

カソードルミネッセンスとは

カソードルミネッセンス(CL)は、材料を電子ビームで励起したときの発光現象です。 

メリット     用途     ワークフロー

走査型電子顕微鏡または走査型透過電子顕微鏡(SEMまたはSTEM)のカソードルミネッセンスは、材料の組成、光学特性、電子特性を明らかにし、形態、微細構造、組成、および化学特性をマイクロスケールとサブナノスケールで相関させる独自のツールです。

カソードルミネッセンス顕微鏡法では、電子顕微鏡の電子ビームによって励起された材料からの発光(放出された光または光子)を分析し、その発光範囲は紫外線から赤外線の波長範囲です。

カソードルミネッセンスは、高エネルギー電子ビームの衝突によって試料が励起された状態になるために生じ、試料が基底状態に戻るときに(カソードルミネッセンス)光子の放出を誘導します。半導体では、この励起過程が電子の価電子帯から伝導帯への移動を引き起こし、その後に正孔が残ります。このため、電子と正孔が再結合すると、半導体から光子が放出されます。

光子エネルギー(色)と、光子(フォノンではない)が放出される可能性は、材料、その純度、含まれている欠陥に応じて異なります。そのため、カソードルミネッセンスの測定では、ほぼすべての非金属物質を調べることができます。バンド構造に関して言えば、従来の半導体、絶縁体、セラミック、宝石用原石、鉱物、およびガラスは同様に扱うことができます。金属では、試料の励起は表面プラズモンの発生によって生じ、減衰するとカソードルミネッセンス光子が放出されます。

光学顕微鏡の空間分解能は基礎物理に基づきほぼ200~300 nm (または発光源の波長の半分)の分解能に制限されるため、電子顕微鏡は従来の光学顕微鏡に比べて明らかなメリットがあります。さらに電子顕微鏡では、電子ビームを非常に微細なスポットに集束し照射することができ、サブナノメートルレベルの空間分解能を達成できる可能性があります。試料から発生する信号を使用して、サイズや形状などの形態的情報や、組成、化学特性、結晶構造、電子特性などを明らかにすることもできます。したがって、試料から得られる膨大な情報と、その情報をルミネッセンス(分光法)からの情報と直接関連付ける能力を組み合わせることで、カソードルミネッセンスは非常に強力な特性評価法になります。

メリット

機能 メリット
半導体材料の品質を明らかにする 材料と素子の製造を最適化、転位密度を測定
光学材料と光学デバイスの特性評価が可能 光の回析限界よりも優れた、空間分解能で光学特性を調査できる 
鉱物内のテクスチャを明らかにする 微量元素分布を明らかにすることで地球化学的過程の再構築が可能
形態と組成の同時測定 試料の形状、サイズ、結晶度、組成を光学特性と直接関連付けて試料の詳細をすべて明らかにする
デバイス製造工程全体を行う必要がない 材料特性を非破壊的な方法で検査することができ、デバイスの処理工程全体を行う必要がない

 

用途

極小の長さスケールでの光学特性評価は、次のような科学研究および技術の多くの分野で不可欠です。

  • 発光ダイオード(LED)
  • ナノ粒子
  • 石油と地質
  • 光電子材料と光起電材料
  • 蛍光物質
  • 2次元材料
  • 鉱物、ガラス、セラミックス、宝石用原石
  • 医薬品
  • ポリマー
  • 貴金属(プラズモニクス) 
  • 有機材料
  • 太陽電池

 

エレクトロニクスとオプトエレクトロニクス – 半導体の局所的な電子バンドギャップを測定して欠陥分布をマイクロおよびナノスケールで明らかにすることができます。この手法により、直接バンドギャップ半導体をGaAsやGaNのような強力なカソードルミネッセンスで調べるだけでなく、シリコンのような微弱なカソードルミネッセンスを発する間接半導体も測定できます。特に、転位を有するシリコンと完全結晶のシリコンの間の発光の差異を使用して集積回路の欠陥をマッピングすることができます。加えて、集束電子ビームによる高い空間分解能は、量子井戸や量子ドットのような半導体構造を調べるのに適しています。
地球科学 – 岩石や鉱物中の微量元素の化学的および地球化学的影響を観察することで、地質過程を再構築できます。カソードルミネッセンス検出器を取り付けたSEM、すなわちカソードルミネッセンス光学顕微鏡を使用することで、他の手法では観察できない内部構造を明らかにして、鉱石の組成、成長、起源を特定することができます。
材料科学 – 光と金属ナノ粒子の相互作用に基づく、新しいセンサーおよび通信技術が現在開発されています。これらの特性は、表面プラズモンおよび局所表面プラズモン共鳴モードによって特定できます。最近の研究発表によると、研究者たちは電子顕微鏡でカソードルミネッセンスを使用して、回析限界を超える解像度で金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴を研究しています。
有機分子 – 多くのポリマーと医薬品有効成分はカソードルミネッセンスを示します。ルミネッセンスの特性は試料の組成ではなく分子の化学的構造によって決まります。このため、カソードルミネッセンスを使用して有機分子の分布を100 nm以下の空間分解能ですばやくマッピングすることができます。 

 

電子顕微鏡のセットアップ

電子ビームが試料を励起すると、試料の表面近くの領域からルミネッセンスが生じます。上半球で生じたカソードルミネッセンスを集めるために、多くの場合、試料とポールピースの間に鏡が挿入されています。鏡は、顕微鏡の真空下から光を集めて分光器または光子検出器に送る特別な形状になっています。電子が透過するTEM試料などの薄い試料では、試料の上部と下部に鏡を使用して両方の半球で生じた光を集めます。

顕微鏡の集束電子ビームをX,Yパターンで走査し、ビームによって放射された光を各ポイントで測定すると、試料の光学活性マップを作成できます。この電子顕微鏡を用いた手法の主なメリットは、特徴を1 nmのスケールで解像し、対象物の光学特性を同時測定した構造的、組成的、化学的特性と関連付ける、または少なくとも同じ機器内で関連付けることができることです。 

一般に試料から放射される光量は極端に低く、ほとんどの場合、可能な限り多くの光子を集めて検出しなければなりません。光を効率よく放射するように作製された試料であっても、最大限の空間分解能を得られるように、実験条件を最適化し、光学的損失を最小限に抑えて光子を収集し、検出する必要があります。 

ワークフロー

カソードルミネッセンスワークフローの理解を深めるため、用途に合った適切な電子顕微鏡を選択してください。

SEM          STEM

Research Spotlight

TEM team & collaborators from left to right: Dayne Swearer, Rowan Leary, Emilie Ringe, and Sadegh Yazdi.

The Ringe Group was established in 2014 in the department of Materials Science and NanoEngineering (MSNE) at Rice University, Houston...

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