発光材料および発光デバイス

共通の課題

発光技術が広く利用される一方で、輝度、有効性、色精度の観点からより高度な性能をもたらす次世代材料が求められています。研究者たちが発光素子とナノ粒子の性能の向上に向けて大きく前進するにつれて、材料の微細構造、欠陥、光学特性の関係がますます重要になっています。光学反応を計算する能力は、さまざまな厳しい条件下での新素材、表面と界面、ナノ構造、クラスター、物質における不具合を理解し、手段として使用し、予測するために極めて重要です。ナノスケールのサイズレジームでこれらの特徴(量子井戸構造など)を特性評価するには、以下の情報が役立ちます。

  • 個々の量子ドット、ディスク、井戸、ナノロッドの発光特性を調査するのに十分な空間分解能
  • 微細構造と機能特性を関連付ける能力
    • 素子の性能とエピタキシャル品質の関係の構築
    • 欠陥の電気特性の測定
  • ワイドバンドギャップ半導体の分光分析の実施

革新的な手法

発光素子とナノ粒子の特性を的確に評価し、理解するには、まず最初に、材料界面を識別できるように各試料が高品質であることと、必要に応じて環境刺激下で処理できるように各試料が適切に管理されていることが重要です。試料を作製したら、材料の微細構造、欠陥、光学特性の関係をより深く理解するために、いくつかの手法を利用できます。 

顕微鏡レベルで材料の化学特性および電子特性について独自の知見を得ることができる。
顕微鏡レベルで材料および素子の電気特性を明らかにする。
ナノ構造に関する原子分解能の化学および組成分析。
ナノメートルレベルの分解能で像内の元素と化学物質を強調しマッピングを行い定量化するイメージング手法の1つ。
EELSデータの空間分布を生成するための体系的な方法。
材料の成長、素子の超微細構造と不具合を理解するのに役立つ、権威ある賞を受賞した高分解能イメージングツール。
成長過程、化学反応と酸化、照射効果、機械特性、磁気特性、強誘電特性をリアルタイムで観察。
独自のSEM、TEM、またはSTEMアプリケーション用に試料を切削、エッチング、研磨、および凍結するための高性能ツール。
試料の元素または化学特性を解明するのに役立つ。
材料の結晶方位や組織を調べるのに役立つ。

関連するアプリケーションの詳細については、「半導体材料およびデバイス」または「電池およびエネルギー貯蔵技術」をご覧ください。

結果の活用

発光ダイオード(LED)

LEDには、従来の光源(白熱電球など)と比較してさまざまな利点がありますが、それは、非常に高いエネルギー効率と寿命を実現できる半導体材料を利用しているためです。高速原子スケールEELSは、これらの素子内のGaN/InGaNの多層構造を分析できる有効な方法であることが実証されています。下図の環状暗視野(ADF) STEM像(左)と対応する原子マップ(右)は、各層(具体的には、Ga Lマップ(上)、In Mマップ(中央)、N Kマップ(下))をどのように区別できるのかを示しています。

ナノ粒子

ナノ粒子の研究は、医学、電子機器、エネルギーの分野に革命をもたらそうとしています。光学分野のアプリケーションでは、量子ドット、プラズモンナノ粒子、半導体ナノワイヤーなど、さまざまなクラスのナノ粒子と関連しています。これらのナノ構造の光学特性を個々の粒子レベルやサブ粒子レベルで特性評価することは、そのサイズの小ささから困難ですが、カソードルミネッセンスが提供する直接特性評価法を使用すると、個々のナノ粒子の光学/電子特性や基礎物理特性を評価することができます。下の図が示すように、サイズの異なるプラズモン粒子(金色の三角形のプリズム)を解像して、プリズムの電子がさまざまな共鳴でどのように振動しているのかを測定することができます。

ナノスケールでの光学特性の調査

下図から明らかなように、この半導体ナノロッドは、InGaN(明部)とAlN(暗部)の層が交互に重なっています。Vulcan™検出器を使用すると、各量子井戸からのカソードルミネッセンス放出を高角環状暗視野(HAADF)像上に重ね合わせることで明確に区別できます。量子井戸から抽出されたスペクトルは、ナノメートル空間分解能での効率的なバンドギャップに対応する強度と放出波長の変化を示します。オハイオ州立大学のR. Williams博士のご厚意によるものです。

微細構造と機能的特性の関連付け

転位密度は、成長材料の有効性を判断するための単純ですが重要な測定値です。半導体の開発において、転位は素子効率を低下させますが、それ以上に重要な、高リーク電流に関係する寿命の問題を引き起こす可能性があり、これは壊滅的な欠陥になりかねません。MonoCL4™システムによって作成されたパンクロマチック像を使用すると、非接触、非破壊で、電気的に活性な転位(黒点)を定量化し、特定の素子の有効性を判断することができます(たとえば、1 x 108 cm-2以下の場合、窒化物半導体は有効であることを示します)。

低振動極低温冷却ステージを使用して、波長分解イメージングで無極性物質の積層欠陥分布を明確にすることで新しい成長過程を確認できます。

青色LEDの構造を評価するため、個々のInGaN量子井戸の微細構造とルミネッセンスを関連付けます。複数の量子井戸にわたり機能特性を分析するにはHREM像(左)では十分でないため、これらの結果が重要になります。一方、Vulcan検出器で取得したカソードルミネッセンス像(右)は、個々の量子井戸を識別して、ルミネッセンス強度を特性評価し、スペクトル分析を使用して個々の井戸の組成に関連付けることができることを示しています。これと同じことが可能な手法は他にありません。試料はケンブリッジ大学のJ. Griffiths教授のご厚意によるものです。

CdS/CdTe量子ドットは、ソニーのブラビアテレビの赤色ピクセルに使用されています。量子ドットは優れた光源であり、個々の量子ドットは異なる角度に光を放射します。ここで、カソードルミネッセンス画像(赤色)を通常の白黒TEM画像に重ねると、量子効率の大きな違いが明らかになります。After G. Fern様などのご厚意によるものです。Journal SIDから引用。

LEDの個々の量子井戸からのルミネッセンススペクトルと共に、シリコンドーピング量子障壁による量子閉じ込めシュタルク効果の低減を示す最初の直接的証拠が示されています。J. Griffiths様などのご厚意によるものです。Nano Lettersから引用。

ワイドバンドギャップ半導体の分光分析

生産環境で材料を調整するためには、複雑な構造を識別し、材料のばらつきを検出できる能力が重要です。MonoCL4検出器を使用し、カソードルミネッセンスのばらつきによって窒化ホウ素の複合的な構造が示されています。次に、材料組成をより深く理解するため、バンド端近傍発光の深UV(200~230 nm)で高分解能スペクトル分析を行っています。