クライオEM

クライオ温度下で生物試料をより自然な状態で観察します

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概要: 

Nature Method of the Year, 2015”を受賞したクライオEMは、K2直接検出カメラのテクノロジとイノベーションによって牽引されています。

”現在の所、電子カウンティングモードで動作するGatan K2カメラのみが十分に短い露光時間においても80%ものDQEを達成することが出来、K2カメラのフレームレートは現在存在する他の2メーカーの同種のカメラよりも10倍も高速である” -Subramaniam, S., Kuhlbrandt, W. & Henderson, R. (2016). IUCrJ 3, 3-7.

有効分解能のフロンティア     メリット     クライオEMのワークフロー

クライオ電子顕微鏡における単粒子解析法とは

単粒子解析クライオ電子顕微鏡(クライオEM)は、構造生物学者が原子分解能で構造を解明するために使用する手法で、ますます広く採用されています。この手法はX線結晶構造解析法を補完するもので、結晶試料がなくても構造上の詳細が明らかになります。ガラス質(非晶質)の氷で凍結水和した試料を観察することにより、試料の超微細構造、緩衝液、および配位子分布が元の状態のまま保持されます。また、クライオEMは、150 kDaより大きい試料の研究が可能となる核磁気共鳴(NMR)を使用した、構造解析を補完します。構造生物学者はクライオEMを頻繁に使用して、超分子集合体またはマシンにおける分子の相互作用のほか、ウイルス、小さな細胞器官、および高分子の生物学的複雑性を研究しています。

クライオEMの使用時には、同一でありながらランダムに配向した何千から何十万もの粒子(分子)の高分解能像を各試料から記録するために、透過型電子顕微鏡(TEM)が使用されます。次に、複数の3次元的な分子配向を区別するため、これらの画像は画像分類アルゴリズムを使用して分類、整列、平均化されます。クライオEMは、2オングストロームに近い分解能で分子構造を解明できます。これは、数年前には想定し得なかった分解能レベルです。

 

クライオEMの分解能のこの急速な向上は「分解能革命」と呼ばれ、直接検出カメラの直接的結果です。電子顕微鏡の従来のカメラは、シンチレーターを使用して電子の像を光の像に変換し、光ファイバーを使用してその画像をアナログ記録用CCDまたはCMOS画像センサーに転送します。観察結果が変換されて記録されるまでの間に高分解能像の細部が失われ、長い間クライオEMは真の潜在能力を発揮できませんでした。

従来型カメラでは変換ステップで細部の情報が失われるため、直接検出カメラで電子画像を直接測定するようになりました。Gatan K2 Summitカメラは、像を記録するために超解像度技術を使用した電子カウンティングを採用している独自の直接検出カメラです。この技術では、アナログの読み取りノイズを受け入れずに、個々の電子をリアルタイムで認識およびカウントします。K2 Summitカメラでは、0.5ナイキストでの検出粒子効率(DQE)性能は、前例のない52%です。これは、従来のカメラと比べて6倍以上改善しています。

 

有効分解能のフロンティア

K2 Summitカメラは、多くの場合GIF Quantum LSイメージングフィルタと組み合わされ、有効分解能の限界-フロンティア-を再定義する成功的な結果を出し続けています。最先端の結果を示す論文では、最新のデータ取得および画像処理方法を備えたこれらの製品が、βガラクトシダーゼの2.2オングストローム構造など、より小さな分子をより高い分解能で再構築する最前線にいることを示しています。

単粒子クライオ電子顕微鏡法を用いた論文における分解能と分子量との間の関係。K2 Summit、またはQuantum LSが様々な分子量に対して分解能の限界を拡げる多くの構造解析に用いられています。

単粒子解析クライオEMのメリット

単粒子解析クライオEMでは現在、X線結晶構造解析と同等の分解能の構造が得られるようになり、その技術には構造生物学者の注目を集める数多くの独自のメリットが存在します。

機能 メリット
元の水和状態で構造を検証 標本や緩衝液の濃度など、生物学的に関連した環境で試料を保持
より大きな集合体の研究が可能 複数のサブユニットを含む150 kDaより大きな分子が、不均一、準安定性、または結晶化が非常に困難であるという特徴を示すのに有益
原子分解能の構造を解明 αらせん、βシートに加え、非対称側鎖、水素結合、および水分子の観察が可能
化学環境を管理 さまざまな機能状態で分子を検証する実験条件を変更可能
結晶化のステップを排除 時間のかかる不確定な準備段階を回避、パブリッシュに要する時間を短縮

 

単粒子解析クライオEMのワークフロー

ステップ1:精製

単粒子解析クライオEMで分子を研究するには、高品質の3次元再構築を行うために、試料は精製され構造的に完全である必要があります。理想的には、試料を生化学的に活性な状態に保つ緩衝液に保持する必要があります。試料内の分子は、顕微鏡で研究するのに十分高い濃度である必要がありますが、それらが凝固するほど高くならないようにします。最終的に、実験条件は最適化され、関心のある分子の均一の立体配座状態を促進する必要があります。

ステップ2:急速凍結

各試料は、顕微鏡の真空内での凍結乾燥を防ぐために冷凍されます。ほぼ瞬間的な冷凍は、試料の構造を破壊する水の結晶が形成されるのを防ぎます。

まず、溶液にある少量の試料をTEMグリッドに付着してから、吸い取り紙で余分な液体を取り除きます。TEMグリッドを液体エタンに浸して試料を素早く湿らし、熱を取り除き、非晶質またはガラス質の氷を作成します。画像は、拭き取りを行ったり試料を液体エタンに浸したりする少し前の状態のCryoplunge™ 3システムです。

ステップ3:TEMへの移動

試料を冷凍したら、液体窒素の温度に保持する専用のTEMホルダーに移動します。試料の汚染を防ぐため、試料をホルダーに装填する際には、クライオワークステーションがそれを保護します。また、ワークステーションからTEMに移動する際には、クライオシールドがそれをカプセル化します。この図では、モデル914クライオトランスファーホルダーがTEMへの挿入前にワークステーションから取り外された状態を示しています。

ステップ4:試料の画像取得

試料の構造は、電子線照射により損傷を受けます。通常、高分解能の構造情報が失われる前までに、合計10~30e-2の電子線照射量が使用できます。試料の損傷を防ぐには、低電子線量イメージング手法を使用して目的の場所に移動し、画像を取得する前にTEM像の焦点を合わせます。

K2 Summit電子カウンティングモードと超解像モードによりもたらされた高DQEにより、脆弱な生物試料でも最も高品質な画像を取得できます。この高いS/N比により、粒子の3次元再構築における水分子、イオン、および配位子構造を区別することができます。更なる像質の改善には、1秒あたり最大40フレームでフレーム全体を保存し、試料の移動とドリフトの補正を行うK2 カメラの分割露光機能を使用すると実現可能です。

ステップ5:分析および再構築

画像化されると、Gatan Microscopy Suite®ソフトウェアが分析をサポートし、データを複数のフォーマットにエクスポートします。Gatanカメラからのデータは、EMAN、Frealign、Relionなどの3次元再構築および視覚化のためのEMAN, Frealign, Relionといった広範なサードパーティソフトウェアツールにインポートされます。画像は、解像度2.8オングストロームで20Sプロテアソームの単一粒子の3次元再構築を示しています。

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