化学分析
共通の課題
極めて高い強度、柔軟性、光透過性、熱伝導率を備えた新素材に大きな注目が集まっています。これらの素材に固有の特性をより深く理解するために、研究者たちは化学成分、組成、組成分布、および物質間の相互作用を研究し、さらにこれらの特性の経時変化を明らかにしています。このような化学分析には、単一分子の検出とイメージングが可能な手法に加え、 in-situ 条件である極端な温度、圧力、速度、放射、および真空条件下で評価できる能力が必要です。化学特性の変化を識別して定量化するには、以下の情報が役立ちます。
- 特徴的なナノ構造やナノ粒子と相関づけた化学状態
- 化学的特性の密度と対称性
- 安定性、相転移、および再分配
革新的な手法
物質の化学特性を的確に評価し、理解するには、まず最初に、物質界面を解像できるように各試料が高品質であることと、必要に応じて環境刺激下で処理できるように各試料が適切に管理されていることが重要です。試料を作製したら、材料の微細構造、欠陥、化学特性の関係をより深く理解するために、いくつかの手法を利用できます。
原子分解能の化学および組成分析。
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ナノメートルレベルの分解能で像内の元素と化学物質を強調しマッピングを行い定量化するイメージング手法の1つ。
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EELSデータの空間分布を生成するための体系的な方法。
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材料の成長、素子の超微細構造と不具合を理解するのに役立つ、権威ある賞を受賞した高分解能イメージングツール。
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顕微鏡レベルで材料の化学特性および電子特性について独自の知見を得ることができる。
For more information, visit WhatIsCL.info.
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独自のSEM、TEM、またはSTEMアプリケーション用に試料を切削、エッチング、研磨、および凍結するための高性能ツール。
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関連するアプリケーションについては、「組成分析」または「金属および合金」をご覧ください。
結果の活用
局所的な化学的状態
MLLS (Multiple Linear Least Squares)フィッティングルーチンは、材料内の化学相をマッピングするのに便利です。主相が存在する領域のリファレンススペクトルを指定すると、分析により、リファレンススペクトルの空間分布を示す適合係数マップが得られます。この例は、この手法によってCイオン注入後のダイヤモンド界面の化学的状態がどのようにわかるかを示しています。結果は、NMMU様(南アフリカ、ポートエリザベス)のご協力およびご厚意によるものです。
化学分析
グラフェンは高い強度、電気伝導性、熱伝導性を備えていることで知られています。顕著な特性のひとつとして、グラフェンは、あらゆる原子に対して両面からの化学反応が可能な唯一の炭素の形態であり、単一層であるグラフェンをより厚いシートと比較するとその化学反応性は高くなります。グラフェンを新しい素材や素子に組み込む場合、化学反応性を把握することが重要になります。この例は、研究者たちが高温に曝された焼きなまし試料の複数の黒鉛層をどのように評価しているかを示しています。オレンジ色のC Kスペクトルは最大のπ*/σ*比とそのピーク位置の高エネルギーロス側へのシフトを示しています。